下が古い.上が新しい.間は他所

2008-07-31

自然選択というやつは,客観的な基準で起こるかもしれないし,恣意的な基準で起こるかもしれない,というのは昔からグダグダ書いている通り.いわゆる Dual Inhertance Theory と呼ばれるアレ.生態や行動を観察することで他者の恣意的な基準を推定しよう,というのはフツーの科学のはず.「システムの継続」を考えると,その基準は表現型的な何かとして扱ってもいいと思う.表現型的な何か,というのを正しくはどう呼ぶべきか知らないのだが,遺伝子や環境の影響が小さいという意味で,いわゆる表現型というよりは文化的なものなので,あえて既存の (しかしマイナーな) 用語を使って呼ぶなら memotype といったところか.個人的には memotype という概念はあってもいいと思うが,meme は不要な概念だと思う.という長々とした前置きの上で,進化心理学の批判.ヒトの心理 (というか恣意的判断基準) は間違いなく進化してきたものだし,その理由を過去に求めるという発想自体は妥当だろう.ただし,現生のヒトの心理だけを見て,比較すべき他の種の心理もわからない状況で,共有派生形質などという概念もないままに過去を復元するなど,進化学をバカにするにも程がある.