下が古い.上が新しい.間は他所

2011-09-30

統計というかデータマイニング,というか推測統計ではなく記述統計だろう,とツッコみたくなることしばしば.

2011-09-23

実のところ,たとえばグラフ G のインスタンスとしてどのようなものがあるか,そしてそれが各進化系列上でどのように変化してきたかについては, いわゆる離散形態形質の系統解析というやつで扱われている.が,それは適当か.

もうひとつ.グラフ G の比較はできないものか.

骨格を骨要素 (A),2つの骨要素の関節面 (B),2つの関節面の交線 (C),という3つの型に分ける.この3種類のノードがつくるグラフ (G) をに基づいて A を分類し,B や C を標識点として幾何学的形態解析をする.さて,C が生物学的に相同 (つまり type I landmark) だという根拠はどこ ?

2011-09-20

諸々の文献等において landmark-based morphometrics が outline-based morphometrics に並立するものとして書かれるのがよくわからない.実際に測られる outline というのは landmark 集合の特殊な例 (一列に並んだ landmarks) ではなかろうかと.あえて対比するならその landmarks 列を空間領域で表現するか,それとも周波数領域で表現するかというのが重要なのではないかと思う (eigenshape? よくわからん).

2011-09-16

科学的な言説を広めたい欲,もしくは科学的でない言説を撤回させたい欲,とでも申しましょうか,そういう伝言ゲームへの興味はとことん薄れてしまったなぁ,と.むしろ,どんな言説が広まっているのかを観察することだとか,広まってる言説の妥当性を考えることとか,そっち.

2011-09-15

あえていえば,世の中では命名規約におけるシノニムというものは当然ながら適切に理解されていなくて,そういう言葉がひょっこり(センセーショナルに)顔を出したとしても出世魚につけられる異名のようなものとしか理解されないということがわかった,といったところ.

最近ことあるごとに「古生物そのもの」よりも「古生物の研究というものが世の人々の世界観にどういう変化をもたらしてきたか」の方に興味があるなどと言い散らかしているような気がするけど, その分析では別に非職業研究者が職業研究者の発言を"適切"に解釈しようと"不適切"に解釈していようと全く構わなくて,職業研究者の発言が他者の考え方(物事を解釈する方法/モデル)を変えたかどうかの方が重要.もちろん,考え方の変化を捉えるためには変化の前と後を適切に認識する必要があるのだけど,別にトリトロ問題で特別新しい知見が得られたかといえばそんなことはないような気がするなぁ,というお話.

一連のトリトロ問題(DOI:10.1080/02724634.2010.483632 に端を発する Triceratops と Torosaurus の関係に関するアレコレ)について.論文に書かれている内容がどのように言い換えられて世の中に広まってゆくかという観点での分析も面白いといえば面白いのだけど,でも今回の一件は数多ある事象の一つにすぎないわけで,特別面白いというものでもない.やはりどちらかと言えば,どのようにすれば異なる個体を成長段階の異なる同一の種(個体群)として識別できるのか,どうすればそのような主張に反論できるのか,このことを論文中でどのような形式で宣言すればよいか (SYSTEMATIC PALEONTOLOGY に何を書かなくてはならないか,何を書いてはいけないか) の方に興味があるんだよなぁ,などと再認したのであった.

2011-09-01

わざわざ解説員が出ていく意味というのも考えたほうがいい.単純に答えを見つけるだけであれば,大抵の事はラベルに書いてあるわけで,ウォーリーを探す方式でラベル読ませたって意味はない.

よくあるケースとして,博物館に来るような子の中には図鑑を丸暗記している(私みたいな)嫌な子供がいるもので,そういう奴にはひとこと「なんで?」と聞き返してやるというのが私の常套手段だったりする.これまで私が関わってきたのが恐竜関係の展示だったということもあり,だいたい子供の知識というやつは復元画(笑)だとか「最大!最強!」みたいなものなので,「キミ,それ本物みたことあるの?」だとか,最強の矛を持つ肉食恐竜 vs 最強の盾を持つ草食恐竜などという文字通りの矛盾を指摘してやれば,なにかしらその子はウンウンの考えこむことになっている.それに対して,「こういうところを比べてあげればいいんじゃない?」などとヒントを言うこともあるし,それで正解 (貴様の言う「正しさ」とはなんだ,というのはさておき,極めて確からしいと言われていることとでもしておこうか) を導くことができたら「まぁそういうことだろうね」と生返事し,そもそも解答が得られない問いに対しては,「まぁわかるわけないよね」とか「なんでもかんでもわかるってもんじゃないのよ」などと煙に巻くのである.それがいいかは知らない.

ちなみに,その人が解説していたのは「この標本は何か」と答えさせるハンズオン型の展示で,彼は「さぁ,遠慮しないで触ってごらん」と導入し,それに対して子供が答えるというものであった.そして,私が残念に思ったのは,その答えが合っていれば「じゃあコレは?」,間違っていれば「正解は**でした~.じゃあコレは?」という流れをそれぞれの子供に対して繰り返していたことであった.

某博物館にて学芸員実習をしている人に「博物館の展示解説で心がけることってなにかありますか」と訊かれたのだけど,咄嗟には何も出てこなかった.ただ,その人が来館者相手に喋ってるのをしばらく見て気がついたのだけど,なんとかして展示している標本を観察させること,来館者が直前まで見ていたものや知っていそうなことと結びつけることの 2 つは非常に重要だと思った.