下が古い.上が新しい.間は他所

2010-02-25

あとは,コンプレックスというかなんというか,記載の一つもせずに「科学」を語るとかできないだろうという気持ちが非常に強くなったというのもある.昔は paleobiology に傾倒していたのが.今では完全に paleontology だったり.

重い腰を上げて,とある化石の記載論文を書きあげようという流れを作ってみた.卒論どころか 学部の3年の時から関わり始めて,よくもまぁ長々と放置したもので,我ながら救いようが無い.そう書き始めたところで言い訳をしておくと,正直なところ化石の記載論文がどういう論理で書かれるものなのかを心得ていなかったが故に筆が進まなかったというのがある.たとえば,SYSTEMATIC PALEONTOLOGY と題してタクサを宣言した後にその記載をするというフォーマットだとか,diagnosis と description の区別だとか,そういうあたりである.自分の場合,それを理解する前提として,関係代数とか型理論とかへの理解が必要だった.あとは,関数型言語を常用しはじめたついでに命令型言語や宣言型言語との違いを把握したというのも大きい.

2010-02-07

某掲示板定点観測所だより:例の「なんであいつら大股開き復元なんかやっちゃったの?」問題を解くためのリファレンスを見つけてきたあたりには素直に感心せざるを得ない.5 年以上続く例の「議論」のなかで唯一の有意義な話かもしれない.

予測の妥当性が確かめられないなら,それは予測でも何でもないわけですよ,えぇ.

2010-02-05

たとえば限られた文字数ないし時間で殺人事件の情報が伝えられるとき,何時何処で誰が死んだとか誰が殺人の容疑者として捕まったとかいう情報を流すのと,それに対して「ゲーム脳」だの「フィギュア萌え族」だのという考察を垂れ流すという2種類の事態を想定するといい.後者の情報を聞いたとき,端からゲーム脳という概念がジョークだと思ってる人間はそれをジョークだと受け止めるし,あれを本気で信じている人はおそろしく深刻な殺人の原因だと理解する.では前者の情報だけを流したらどうなるかというと,ゲーム脳を信じている人が「ゲーム脳のせいだ」と叫ぶのは容易に想像がつくところだが,おそらくゲーム脳を信じていない人も「ゲーム脳のせいだ」と叫ぶ.

去年の Kuehneosaurus と Kuehneosuchus の flight dynamics ネタといい,今年に入ってからの化石メラノソーム祭りといい,その事実だけならものすごく面白いのに,なんでアレをわざわざ「性的ディスプレイ」として解釈するのかというお話.おそらくアレは OAE ないし PETM の古気候学的研究における枕詞であるところの「近年の温暖化」と同じ「業界内でのジョーク」というところまではわかるのだが,ネタをネタと見抜けない人には (職業研究者の発言を理解するのは) 難しい.文字数などがごく限られたメディアにおいては簡潔な結論だけが求められるのは当然なのだけど,そこで紹介されるのがその難解なジョークで,しかもどう好意的に解釈してもジョークとして認識されずにコピペされているという事態を見ると非常に残念な気分になる.

2010-02-03

ここ最近,実験は何も再現しない云々言っていた真意についてのまとめ.現生生物を観察にしても,非生物的な機械の観察にしても,論理的な模型の観察 (数値計算) にしても,どれも「再現性」のある実験と言える.ここで常々問題にしているのは,それは生物だったり,非生物的な機械だったり,数値的なモデルの挙動の観察にすぎないことである.つまり,どれも実際の絶滅生物の観察ではなく,そこから最後の一歩としての「類推」は外挿であって,何一つ正しいことが保証されなくなる.その意味で,これらの観察ないし実験というものは絶滅生物の何かを「再現」するものではありえない.もし仮に絶滅生物の復元をしたいのならば,それが外挿にならないような論理的な基礎が必要ということになる.

2010-02-02

Todoist 使い始めた.UI が好みだったり Firefox サイドバーで使えたり,これなら何も考えずに使える.というか,以前 Remember the Milk を使おうとしたんだけど,そっちは UI に馴染めず三日坊主.ようやくスケジュール管理がうまくできそうな気がする.

2010-02-01

某掲示板定点観測所だより:正直なところ,あの分野に関しては査読を通った論文でもクソみたいな実験と考察しかしていないので「古生物学者」の信用が落ちても仕方がない,という点は同意せざるをえない.もちろん,あの界隈の非研究者がよぶ「古生物学者」が特定のタクサの機能形態学的復元をするごく少数の人々のみを指すものであって,いわゆる職業研究者の呼ぶ「古生物学者」とは一致しない点には注意する必要がある.