下が古い.上が新しい.間は他所

2013-01-27

備忘:Gestalt

2013-01-26

というのを2年ぐらい前に書くべきであった.

これも何度ネタにしたかわからない話の言い換えだけど,まとめとして念の為のメモ.形態の因果役割機能を具体的に特定できるかという問題.行動や生態を観察できない古生物を対象とする場合には,原則として形→物理化学的性質という機能しか見いだせない.そして,この機能を見出す方法というのが,「パラダイム法」という方言で呼ばれる物理・化学的モデルへの当てはめとモデル選択.問題は,そこそこあてはまりの良さそうなモデルのうちどれが実際に実現して適応度に関与したかを特定できるのか,そして,形→他の生物による認知という類の機能を特定できるのか.つまり konstructions morphologie の三角形に effective environment すなわち環世界が付け足されて morphodynamics の四面体になったというのは,おそらくその問題を無視して「わかった」などというのはやめましょうよ,というのが現状の解釈(間違ってる気もする).この問題がクリアされるかといえばまず無理でしょう,というのもこれまで書いてきたとおり.

いわゆる因果役割機能 (causal role function) というのは Luhmann (1958) の言う機能そのまんまと思っていいと思う.で,そこから先の,その機能を備える対象の交換可能性を考えたとき,対象の上位単位をイデオロギーとするのが起源説 (etological theory) で,組織の存続とするのが傾向性説 (propensity theory) という解釈 (因果役割機能,起源説,傾向性説といった分類は Sterelny & Griffith の Sex and death あたりを参照).

結局 engineering morphology というやつは,祖先による分類,工法による分類,因果役割による分類,という3つに基づいて形を整理しましょう,ということでよいんでしょうかね?

どちらかといえば,機能とは何かということよりも,何かを機能と呼ぶことが適当か (その概念に機能という言葉を割り当てた由来とか,妥当性とか)の方が気になっていたというのが正しい

祖先の共通性に基づく分類ができるように,因果役割 (causal role) の共通性に基づく分類もできる (だから因果役割をあえて機能と呼ぶという話でもある

それも昔に思いついてた:oanus.blogspot.jp/2009/03/blog-post_1378.html

むしろ Luhmann (1958)

たとえば心臓は,血液を循環させるという機能を用いてポンプと同類と見なせるし,心音(振動)を生じるという機能を用いてスピーカーと同類とみなせる.

ここまで,だいたい Cummins (1975) くらい (それより遥かに拙いし,話としてはぜんぜん違うのだけど,それを理解するのに要する基礎としてそれくらい).

2013-01-25

つまり,「形→状態量」関係もしくは「形→状態量変化」関係を機能と呼ぶのか,それとも状態量変化そのものを機能とよぶのか,ということであれば前者を採るでしょう,と.

条件の違いによって生じる状態量の違いと,ある条件下での状態量の時間変化を混同してはいけない.

カクカクシカジカ書いてくる中で,形に備わる機能とは,その形があることによって生じる外界の状態の時間的推移だという考えもよぎったが,これも大昔に思いついていたことであった(http://oanus.blogspot.jp/2009/03/morphism-function-morphology-motion.html).進歩がない.

という話は,3年以上前にもしてる:http://oanus.blogspot.jp/2009_10_01_archive.html

konstructionsmorphologie (あえて engineering morphology と呼びたい) またはmorphodynamics における問題は,脚にズボンを穿く機能があるかということではなく,実際にその脚でズボンを穿いていたかどうかなのであって,それはつまり脚はあったけどズボンがなかったから穿けなかったとかいう生息環境のみならず,スカートの方が好みでパンツルックは嫌だったとか,そもそもズボンというものを認識できなかったとかいう生物特有の恣意性とか,つまりそういう umwelt の問題でしょう,という理解.

あいかわらずあーでもないこーでもない言っている「機能」について.結局,形の違いによって形以外の何かが異なるとすれば,それを機能と呼んでもいいような気もする.言い換えれば「形 → 性能 → 適応度」パラダイムにおける「形 → 性能」とか「形 → 適応度」というような「→」で表された写像を機能と呼ぶ,ということ.たとえば,人の腕のような形状 f1 とか脚のような形状 f2 さらには頭のような形状 f3 からなる集合F から,ズボンを穿ける TRUE か否か FALSE という二値からなる性能の集合 P への写像 (機能) F → P を考えて,f1 ↦ FALSE, f2 ↦ TRUE, f3 ↦ FALSE という観測に基づき,脚にはズボンを穿く機能がある,と呼ぶような感じ.

生物特有の恣意性というものも,主には機能に効いてくる話のような気がする(あらゆる機能に効いてくるというわけではないが).

Umgebung ではなくて umwelt が問題だ,というのはそのとおりだと思うし過去にもそう書いてるんだけど,"effective environment" を調べるために facies analysis とか ecology の手法が要るとか書かれると,えーなにそれ,みたいな感じでもにょりたくなる.

ここまでのまとめ.形を解釈するにあたり考えるべき3項目は,その形が何から継承されたものであるか (系統/歴史),どのように形成されたものか (形態形成),その形が他の要素にどのような作用するか(機能)が基本.問題は「環境」の扱いで,単に「何が何に対し作用するか」ではなく「どのような環境で作用するか」を問題とするのなら,つまり「自然選択がどこで起こったか」を問題とするだけならば,これはやはり「機能」の問題なので, umgebung だろうが umwelt だろうが機能にまとめてもよさそうなもので,わざわざ effective environment として独立した項目を用意したのはなんでだろうか,という話.

むしろ function はそれで構わなくて,environment の扱いをどうするかが問題のような気がしてきた.

2013-01-24

Phylogenetic tradition (histrosch-phylogenetischer aspekt) と fabrication (bautechnischeer aspekt) は理解できるのだが,残りの function (ökologisch-adaptiver aspekt) が解せない.つまり,いつもどおり function の話で,しかもほとんど言葉尻の問題に近いのだけど,これが fitness という表現なら納得できるような気もしている.

2013-01-23

生物の形が何に制約されるのかを問うている,というところまではともかく,その観点の3つもしくは4つへの切り分けが呑み込めない

この期に及んで konstructionsmorphologie が理解できない