下が古い.上が新しい.間は他所

2011-02-15

たまたま目に止まった形態学という言葉を冠する本 2 冊が,ともに,形態学は要素還元主義とは違い全体論的立場に立つもので云々と書いててのけぞった.だいたいこういうことを言うのは構造主義生物学者を標榜する何かと決まっていて,要素還元の行き着く先である分子生物学では説明できないことがあって,たとえば生物をミキサーにかけて形態を破壊するとそれは既に生物ではなくて…などと続くことになっている.形態を,たとえば標識点または標識線,標識面の集合だと考えるなら,間違いなくそれは濃度が 1 以上の集合 (より正確には位相空間) を扱っているのだが,複数要素を扱うことが非還元論的 (全体論的) かといえば決してそんなことはなく,形態という一属性だけに還元して扱っているに過ぎない.