下が古い.上が新しい.間は他所

2009-03-29

まだ自分の中でもまとまっていないので,書き殴りとして.「機能形態学的に復元」という言い回しは,素人目には古生物学という未開の学問領域に物理学の知見を取り入れた革新的手法であるかのように受け入れられるが,実際は「ごく素朴な分類」に過ぎない.より正確に言えば,機能形態学的な復元というのは,力学モデル (= 型) を作る作業と,化石をそのカタチに基づいてそのモデルに当てはめる作業に分けられる.そして,前者にはどんなデータにも応じられるように様々なモデルを用意する能力が,後者には与えられたデータに対し妥当なモデルを選ぶ能力が求められる.普通の古生物学では高次タクサという名のモデルへの当てはめ能力が,機能形態学的な古生物学であれば力学モデルへの当てはめ能力が求められる.この違いにより,前者の立場ではクジラは「哺乳類」に分類され,後者では「水中を運動する巨大な物体」となる.そういう意味で,機能形態屋はきっと流線型は物理的に速度を出すのに適しているよね.え?化石もそういう外形しているの?じゃあ,それで良いじゃんと言うんじゃないか,という認識は実に的を射ていると思う.